入院日記


入院までのいきさつ

過労と一部の非常識な人間によるストレスとで、ここ1ヶ月間数時間程度しか寝ていなかった。
休日も返上で頑張っていたのだが、8/6に舌に強烈な痛みを覚える。話すのも息するのも痛い。
痛みに耐えながら授業をするも、8/8にヘルペスだと分かり、病院で薬をもらう。
楽になったと思いきや、度重なる心労でウイルスが残っていて耳に転移。
耳から三叉神経がおかされて、8/16に顔の右半分が麻痺状態に。これがラムゼイハント症候群。
近くの医者に、顔面神経麻痺の専門の医者を紹介してもらう。御茶ノ水の駿河台日大病院。
8/21。その専門の先生のいる日に病院に行ったところ、即入院確定。相当、重度らしい。治るまで1年くらい。完全には治らないかもしれない。

駿河台日大病院

8月21日(火)

予定通り1時に病院着。聴覚、尿、血液といろいろな検査をやる。
毎年、会社の健康診断で血圧と腎臓のことを注意されていたのでイヤな予感。
4時。やっと診察。案の定、即入院。かなり重度らしい。
精密検査行ってればよかったけど、後の祭り。
とりあえず個室にしてもらい、設備の説明を聞いていると循環器の先生が来る。循環器?イヤな予感。。。
腎臓がかなりヤバいので食事は慢性腎炎の食事に決定。味も量も少ない。入院中に体重も少し落としましょうとのこと。
生まれて初めて腕に点滴用の管を通す。はじめビタミン剤を打たれた。なんか無性に気持ち悪くめまいがした。
こんなことで強いステロイドを打てるのかな?
疲れと、なんか安堵感で夜は死ぬほど眠れた。こんなに寝たのは久しぶり。

8月22日(水)

朝、採血やら血圧やらを測って朝食。がっかり。ごはんと草(レタス)。おわり。草をオカズにご飯を食べたのは初めて。
お茶も口の右側が動かないんで、ジョボジョボこぼれる。情けない。。。
循環器の先生が来て、詳しい数値、説明を受ける。透析一歩手前まで悪化していたらしい。
ショックで声も出ない。顔面麻痺のステロイドという強い薬も体が耐えられるか微妙らしい。とりあえず様子をみてらしい。
また、今日から全部の尿を機械にためるように指示される。
嫁がそばにいてずっと励ましてくれている。有難いんだが、返す言葉が見つからない。無言でいることが多くなった。
ステロイドも打ってないから、顔は以前麻痺状態。右の目玉も麻痺して動いてないらしい。

これが朝食。草(レタス)をおかずにご飯を食べます。毎日。

8月23日(木)

子供を保育園に送った後、嫁がすぐに来てくれる。遠いのに悪い。嫁も体調悪いはずだけど大丈夫だろうか。
今日も採血。なかなか血管がみあたらない。しかたなく手の甲から採血。何度もブスブス刺されるよりずっといい。
食事は塩分、たんぱく、カリウムに制限が出た。しかし、糖は平気だったらしい。これで糖尿病を併発してたら・・・
しかも、運動もいけないらしい。担当の先生は優しく、親切なんだけど、真顔で怖いことを平気で言う。
ますます不安になるよ。今日からステロイド点滴が始まった。とりあえず顔面麻痺治さないと。
もっと保険に入ってりゃよかった。
寝るとき、右のまぶたが閉じない。閉じているつもりなのに動かない。目を傷つけないように目の中に薬を塗って眼帯をして寝る。

8月24日(金)

ステロイドの量が増えた。とりあえず腎臓的には問題ないらしい。顔は痛くないが全く動かない。
顔がどの程度動くか毎日検査するんだが、全部動かず全部1点。40点満点で9点。
入院中はまず期待しないでね、と言われた。今日、人生初のCTを撮った。点滴刺しながら病院うろついていると病人らしい。
ていうか、病人だしね。外来患者に見られるとなんか変な優越感がある。俺は病人なんだぞ〜ってね。
嫁と母親が見舞いに来た。実の親に弱った姿を見られるのは恥ずかしい。
塾にも電話する。塾の方は心配ないらしい。俺の穴をしっかりと埋めてくれているようだ。安心。安心。ごめんね。
ちなみに今日の朝ごはんは例のご飯草セットをさらに半分。食べ終わるのに1分とかからなかった。タバコ吸ってまぎらわす。
しかし、毎日横になっているせいで体がなまって、夜寝付けなくなってきた。

8月25日(土)

待望の子供達と嫁、義母さんがお見舞いに来てくれた。いろいろ励ましてくれた。
大津先生と安藤先生も見舞いに来てくれた。貴重な休みを本当に有難い。
ただ、ちょっとバタバタして義母さんにゆっくりしてもらえなかった。すいません。
土日は検査はなし。月曜にエコーをとるらしい。
しかし、全く眠れない。一睡も出来ない。
持ってきた古典などをそぞろ読みして夜を明かす。
ちなみにタバコは屋上でしか吸えなくて、夜10時から朝6時まで閉まっている。タバコ吸いたい〜。
世界陸上が始まった。夜はなんとか退屈しないですみそうだな。


屋上。喫煙所。まさに天国。

8月26日(日)

全く眠れない。看護婦に言って睡眠薬をもらう。屋上で一服するのが今の楽しみだ。
屋上では病人スモーカー達が集って病気自慢をしている。おもしろい。すでに派閥みたいのもあるようだ。
そこで車椅子のお姉さんとお友達になる。嫁も交えて、しばし談笑。病院じゃなければもっと楽しいのにね。
車椅子は不自由そうだけど、いつかは治るからと陽気なお姉さん。そうだ、腎臓は治らないんだっけ。。。一生の付き合いだもんね。
この生活にも変に慣れてきた。早く、退院したい。出所したい。シャバに戻りたい。仕事したい。授業したい。風呂入りたい。
そう、ステロイド投与中は風呂も禁止。こんなに風呂入らなかったのは人生で2度目だ。夏は1日2回は風呂はいるのに。
土日で退院される方も結構いるようだ。隣も今日退院。おめでとう。すぐに俺も。
舌が相変わらずバカ(麻痺)しているせいか、薄味もかなり濃く感じる。
明日、エコー検査のため朝食抜き。ご飯草セットもだいぶ慣れてきたのに寂しいな。意外にうまいし。退院しても朝はこのメニューにしよ。

隣に明治大学があります。明治も綺麗になったね。

8月27日(月)

エコー検査。嫁が妊娠しているときにやったやつだ。まさか自分がやるとは。
循環器の先生が説明に来る。1日の尿からクレアチニンクリアランスという値が出たらしい。
通常80から100程度らしいがそれが12しかないらし。普通の人の20%。
どちらかというと頻尿だったので、まだ腎臓大丈夫と勝手に安心していたがその謎もわかった。
尿が濃く出来ないから頻尿だったのと、毎回検尿でひっかかる血液反応も腎臓の網目がバカになっていて
そこから赤血球がもれまくっていたらしい。また、腎臓がかなり小さくなっていて、しかも硬くなっているそうだ。
おそらく、慢性腎炎か腎硬化症。どちらかを特定するには背中から針をさして、腎臓の組織をとる生検をする必要があるらしい。
しかし、私の場合はしても治らないから意味がなく、しかもそれがきっかけで腎臓にトドメをさす結果になるらしい。リスクが多すぎる。
う〜ん。。。一生付き合っていくこと確定。
いまさらながらだが、生命保険の本を買ってきてもらって勉強する。初めて真剣に死んだ後の事を考えた。
今日、明日死ぬという病気じゃないんだけどね。家族と仕事のことはきちんとしておきたい。

8月28日(火)

薬の成果、血圧はかなり低い値で安定してきた。血糖値は相変わらず低め。体重も少し落ちたせいかパンツがゆるい。
耳の検診のときに先生がカルテを見ながら、CTの結果をさらりと教えてくれた。
腎臓が小さい。それは昨日循環器の先生に聞いた。脂肪肝。毎年の健康診断で言われたことがある。胆嚢にポリープ。
ポリープ?!マジ焦る。。。ポリープってヤバくないの?耳鼻科の先生だから聞いても分からない。循環器の先生に聞いてだとさ。
循環器の先生登場。固唾を呑む。大きさから良性だそうだ。安心。。。でも、いつ悪性に変わるかも知れないから健康診断はきちんと
受けるように言われた。驚かさないでよ。寿命が5分くらい縮んだ。
また、運動に制限が出た。運動しないで体重落とすようにと。??どういうこと?勉強しないで合格しろって言われているよう。
あんまり激しい運動するとマズイし、極端に体重が落ちるのもマズイらしい。困ったな。
弱っていて、落ち込んでいる姿を見られたくないから、周りにはなるべく入院のことは言わなかったが、
塾長日誌を見て友人と卒業生がお見舞いに来てくれた。
毎日、看病に来てくれている嫁の具合が悪いらしい。無理しないでくれと頼む。これでお前に倒れられたら・・・
明日、レントゲン検査、採血、尿の精密検査があるらしい。どの程度、落ち着いたかを見るそうだ。やっと退院の兆しが見えた。
しかし、夜眠れない。睡眠薬をもらう。寝つきは悪いが、寝てしまえばグッスリ眠れる。こんなに深い眠りは記憶にない。
明日、親父も来るらしい。

病室のベッド。俺には小さいです。手前のボタンはナースコール。

8月29日(水)

鼓膜に穴が開いているらしい。入院する前に自分で綿棒で開けてしまった。血が出るまでイジってたから。
循環器の先生が来て、クレアチニンの数値が4.7に少し下がったらしい。焼け石に水程度だが。本当、下がらないんだね。
万が一のために透析の詳しい説明を受ける。透析はヤダ。まだ、子供も小さいし。
そういえば、親父も俺が小さいときに腎臓で倒れたらしい。同じ思いで俺を育ててくれたのだろうか。
そう考えると、あまりウマが合わなかった親父だけど、すごく親近感というか有難さを感じる。やはり親は尊敬すべきだな。
これからは同じ病気。協力していこう。恥ずかしいけど。
また、睡眠時無呼吸症候群のことも言われた。またかよ。。。どんどん見つかるじゃん。もう勘弁してくれ〜。
そちらのほうは、とりあえず体重落とすことで様子見。
第Wタームでの私の授業は9月初めにスライドすることに。ただ、私を指名してくれた生徒達の中で1人塾を辞めてしまった。
すまない。。。お詫びのしようがない。来春の合格を切に願うだけ。出来ればこの手で合格まで導いてあげたかった。。。
他の生徒達のカリキュラムを考えたり、メモしたりして夜を過ごす。眠れない。。。

8月30日(木)

心エコーの検査。なんかトラブっているらしくモニターを見ながら先生や助手達が話している。何???変???超不安。
すぐに循環器の先生に泣きついて、結果を確認してもらう。ただの高血圧による心臓肥大。問題は特にないらしい。ふぅ〜。
これで腎臓系の検査は全て終了。よかった。よかった。気が付けば、先生や看護婦さんたちとも笑って話している俺がいる。
でも、腎臓が治ったわけじゃない。顔は鼻が動くようになった。点数も徐々に上がってきた。口元は相変わらず動かないけど。
今日から風呂が許可された。やっほ〜。10日ぶりの風呂。夏場は1日2回は風呂入るんで待ち遠しかった。
売店でアカスリとビオレを買って、Let’s have a bath!まるでどこかの温泉地に来ているようだ。気持ちいい〜。
卒業生がまた来てくれた。懐かしい話に花が咲く。お互いまるで昨日のことのように昔の話をした。こういう関係っていいよね。
今日は嫁は家で静養させた。ただ、商工会やら、塾の掃除やらいろいろ顔出してくれていたらしい。頼りになる。内助の功とはこれなんだな。
つ、つ、ついに退院確定!!!!!日曜には出所、じゃなかった退院できるらしい。長かった。。。
早速、家に電話。電話の向こうで子供達がはしゃいでいる声がする。早く子供と遊びたい〜。仕事したい〜。

8月31日(金)

退院が1日早まりそうだ。明日、点滴打って、MRIの頭部検査したら帰っていいらしい。
嬉しい。よかった。と、同時に変な寂しさもある。でも、屋上の喫煙所で長老風のじいさんが言ってたっけ。
「こんなところに長くいちゃダメなんだ」って。そうだよな。さすがにこんだけいると社会不適合者のようで怖い。
生徒達にメールする。みんな暖かい言葉を送ってくれた。ありがとう。中には小学生から教えている、今は高校生の生徒から
すごく大人びたメールもきた。コイツも大人になったな〜。こんなメールよこすようになるとは。いつも見てるから気づかなかったよ。
屋上で一服しながら、タバコも軽いのにしようっと考える。止めるのはちょっと無理だから。今、怖いのはストレスらしいから。
この辺はまだ甘えなのかもしれないけど。塩分とカロリーは気をつけよう。
しかし、病室が寒い。25度だけど。いつも暑がりなのに。歯も痛い。今まで虫歯になったことのないくらい歯は丈夫なんで怖い。
10回くらい歯を磨く。ちなみにうちの塾は先生達に必ずハブラシを持ってこさせ、口臭に気をつけさせています。
睡眠薬が効いて、朝の8:30まで眠っていた。知らない間に朝食運ばれてた。

9月1日(土)

天候。雨。肌寒い。退院当日。待ちに待った出所日だ。
最後の病室での朝食。例のご飯草セット。さすがに慣れた。退院してもこれで朝はいこう。
血糖値を測る。75。血糖値だけは相変わらず低い。低いことはいいことだ。
朝から古典文学と英文を読む。そろそろ頭も授業モードに切り替えておかないと。
MRIを撮った。すごく狭かった。なんとか機械に体が入る。入院当初の体なら入らなかったかもしれない。少し腹がへこんだよ。
お昼。点滴終了。手から点滴用の管が抜かれた。体に何も入ってないってすばらしい。
昔読んだ永禄輔氏の『大往生』でのスパゲティという表現が頭に浮かぶ。
請求書もきた。結構、するね。でも、治してもらったから。
今回のことで医療ってすごく大切だと痛感した。高齢者はやっぱ1割負担じゃないと可愛そうだよ。キツイだろ。
ニートみたいなヤツからたっぷり税金取ればいいんだよ。医療や福祉の勉強もこれからはしていこうと思う。
内服薬が届く。何、この量?!売るほどあるじゃん。薬屋が開けそう。嘘。
でも、本当スゴイ量。耳と顔面麻痺と腎臓だからね。薬なんてここ10年パブロンくらいしか飲んだことないし。
昼過ぎ、親と嫁と子供達が到着。いよいよ帰れるよう〜。荷造りをしている2人をボーとベットで眺めている。
最後に憩いの場の屋上で一服して帰路についた。


最後に。。。

今回の入院でいろいろな事を考えさせられた。
家族のこと、仕事のこと、人間関係のこと、そして健康のこと。
随分、自分に、周りに甘えてきたんだな〜と。
日頃、自分よりもかなり若い人間と接している。
ただ、一講師として勉強だけを教えるのではなく、時には人生の先輩として色々なことを教えてきた。
親や、友達たちには相談できないことも、よく相談される。
この入院で学んだことを少しでも生徒達に伝えていこうと思い、毎日メモしてこの日記を書いた。
この記録が何かの誰かの役に立てれば幸です。
また、自分でもたまに読み返してみて、日頃の堕落した精神の戒めにでもしようかと思っています。終。